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皮膚のしくみ

皮膚には、細菌やウイルスなどの異物が体内に入らないよう、体を守る役割があります。休内の水分がむやみに蒸発しないよう守ったり、痛みやあつさ、冷たさなどを感じたり、におい成分を分泌したりもしています。皮膚は、表面を覆う表皮と、その下にある真皮に分けることができます。表皮は外界と接しており、外界の刺激から内部を守る鎧の役割を果たします。真皮には、皮脂とよばれる脂を分泌する皮脂腺があり、毛根からは皮脂が分泌されています。汗を出す汗腺もありますが、人間ほど発達していません。大の皮膚はうすくてデリケートです。しかもあつい被毛に覆われているので、細菌の繁殖なども起こりやすく、皮膚のトラブルが多いです。

皮膚の構造

表面から表皮、真皮の２層に分かれています。表皮は、外界の刺激から体を保護します。表皮の下の真皮には脂を出す皮脂腺、汗を出す汗腺があります。真皮には神経、血管も走っており、痛みや熱を感じたり、栄養を皮膚に送ったり、体温調節をおこなったりします。真皮の下には皮下組織があり、脂肪が多く、保温の役割を果たします。

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アレルギーの原因物質をアレルゲンという

動物の体には、免疫という体の防御システムがあります。細菌やウイルスなどの外敵が体に侵入すると、それに対して抗体をつくり、再度侵入すると攻撃して排除します。アレルギーは、この免疫システムが、ほこりゃダニ、花粉など、通常は異物と認識しないものに対して、過剰に反応するために起きます。これらを呼吸で吸い込んだり、食べたり、触れたりすると、免疫反応が起き、その結果として、さまざまな症状があらわれます。アレルギーを起こす原因物質を、アレルゲンといいます。どの物質に対してアレルギーを起こしているかは、犬によってさまざま。何か原因しているかは、アレルギーテストをおこなえば、ある程度わかります。

身近にあるアレルゲンは？

●花粉、カビ、人間のフケ、タバコの煙、ダニの糞、ほこり
●牛乳、卵、大豆
●首輪（革製品）、シャンプー、プラスチック
●経口薬、注射薬　など

※空気とともにアレルゲンを口や鼻から吸引する、アレルゲンとなる食べものや薬を口からとる、アレルゲンに直接接触する、これらがアレルギー反応を起こすきっかけです。アレルゲンは検査で調べられます。動物病院で検査を受けてください。

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アトピー性皮膚炎とは？

アレルゲンを吸い込むことで皮膚炎を起こす病気です。

症状：かゆみがありしきりに体をかく

強いかゆみが起こるため、犬は前足でしきりに体をひっかいたり、口でなめたりします。そのため、フケが増え、被毛が抜けたり、皮膚が傷ついたり、ただれたりします。よくみられるのは、顔（特に耳や目のまわり）や、関節の内側、四肢のつけ根などです。多くは、生後1～3年の間に発症します。花粉やダニの多い春から秋にかけてなど、特定の季節に症状が起こる場合と、季節に関係なく起こる場合とがあります。季節性の場合も、進行すると1年中症状が起こるようになります。

原因：ほこりやダニ、花粉などの吸引

アレルゲンを口や鼻から吸い込むと、免疫グロブリンという物質がつくられます。免疫グロブリンは皮膚と反応して、炎症を起こす物質を大量につくるために、症状があらわれます。アトピー性皮膚炎の多くは、遺伝的な素因が関与しています。

治療：薬物療法をおこない、アレルゲンを避ける

副腎皮質ホルモン（ステロイド系抗炎症薬）や抗ヒスタミン薬で、炎症やかゆみを改善します。また、アレルゲンを吸引しないよう、アレルギーテストでアレルゲンを特定し、できるだけ排除することも重要。ダニやほこりなら、犬のいる場所の周囲を掃除します。花粉なら、庭などにある原因植物を除去します。

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接触によるアレルギーとは？

アレルゲンに触れることで起こるアレルギーです。

症状：皮膚が赤くなる、脱毛、かゆがるなど

首のまわりや口のまわりなど、アレルゲンと接触した皮膚が赤くなったり、その部分の毛が抜けたりします。犬はかゆがって、しきりに患部をかきます。

原因：首輪や食器など、アレルゲンに接触

アレルゲンとなるものに接触して、アレルギー反応が起きます。首輪やプラスチックの食器、じゅうたんなどがアレルゲンになることが多いです。また、シャンプーや石鹸、薬などがアレルゲンになることもあります。

治療：原因物質を避ける

アレルギーを起こしている物質と、犬が接触しないようにすれば、症状は改善します。

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食べるものによるアレルギーとは？

牛乳や肉、ドッグフードなどでアレルギーが起こることがあります。

症状：顔がかゆくなったり、赤くなったりする

原因となる食べ物を食べた後、おもに耳、顔面、口などにアレルギー反応が起こります。口にしたものや量によりますが、36時間以内に症状があらわれます。かゆみのため、犬は顔面をかきます。被毛がうすくなったり、皮膚が赤くなっていることも。下痢や嘔吐などを伴うこともあります。慢性化すると症状は全身に広がります。

原因：高タンパク食品によるものが多い

一般に卵や肉、牛乳などの高タンパク質の食品が、アレルゲンになりやすいといわれます。

治療：アレルゲンを含まない食餌にかえる

アレルゲンとなる成分が含まれていない食餌を食べさせます。市販のアレルギー対策用のドッグフードや、その犬がそれまで食べたことのない食品を与えます。

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犬の体は被毛に覆われてむれやすくなっています。また、ほかの犬と接触したり、草木の間を駆けまわったりすることから、寄生虫や細菌、カビなどによる皮膚病が起きやすくなります。真菌などは、犬から人間に感染することもあるので注意を。

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ノミアレルギー性皮膚炎とは？

体に寄生したノミのアレルギーによって、皮膚に炎症が起こる病気です。

症状：激しいかゆみや、赤い発疹

皮膚にかゆみがあったり、赤い発疹がみられたり、脱毛を起こします。ノミの寄生数が多いと、猛烈なかゆみがあり、犬は体をしきりにかきます。特に耳の後ろから背中、腰にかけて症状が出ます。尻尾や、外陰部、肛門のまわりに、症状がみられることも。

原因：ノミの唾液に対してアレルギーを起こす

寄生するノミのほとんどが、ネコノミとよばれる、体長1～2mmのノミです。このノミそのものではなく、ノミが犬の血を吸うときに出る唾液に対して、アレルギー反応が起こります。

治療：ノミを駆除する

アレルギーの原因になっているノミを、駆除します。皮膚に駆虫薬を垂らす滴下剤や、噴霧するスプレー剤、ノミ取り首輪などの薬剤を用います。そのほか、ノミの卵や幼生がつきやすい、畳やじゅうたんをこまめに掃除します。ぬいぐるみやタオルも洗い、清潔に。ノミは、皮膚炎を起こすだけでなく、寄生虫の感染源になったり、人を刺したりします。繁殖しないよう予防することが大切です。

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ニキビダニ症とは？

毛根に、ニキビダニという小さなダニが多数寄生して起こる病気です。アカルス、毛包虫症ともいわれます。

症状：部分的に毛が抜け、できものができる

口や下あご、目のまわり、前足の先などに、小さな脱毛が起きます。脱毛範囲は、徐々に広がります。やがて脱毛部分に、赤いできものができ、皮膚がただれていきます。かゆみは少ないですが、二次的に膿皮症を起こすと、強いかゆみが出ます。

原因：抵抗力が弱いとニキビダニが繁殖する

ニキビダニは、顕微鏡でしかみえない、小さなイモムシ状のダニです。授乳期に母犬から感染するといわれます。多くの犬がもともと持っていますが、通常、繁殖はおさえられています。しかし、成長途中の子犬や老犬のように抵抗力が弱いと、毛根部分でニキビダニが繁殖し、発症しやすくなります。

治療：抗生物質で治療

抗生物質（抗菌薬）を飲ませたり、注射をしたりして治療します。全身に広がっている場合は、なおるまでに3ヶ月以上かかることもあります。

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疥癬症とは？

表皮の下にトンネルを掘って寄生する、ヒゼンダニによる病気です。激しいかゆみを起こします。

症状：毛の少ない部分に激しいかゆみが起こる

　多くは、耳や目のまわり、顔面、ひじなど、比較的被毛の少ない部分が赤くなり、激しいかゆみが生じます。そのため犬は、体をひっかいたり噛んだりして、皮膚を傷つけてしまいます。皮膚が荒れフケも出ます。最初は局所的だった脱毛の症状が全身に広がっていきます。

原因：犬や猫からヒゼンダ二に感染

ヒゼンダニ（疥癬）は、丸い体をしたダニで、感染した犬や猫と接触することで感染します。犬の体にとりっくと、皮膚の下にトンネル状の穴をあけて、もぐり込みます。メスはここで卵をうみ、ふ化した幼虫もまた、皮膚表面にむかって穴を掘ります。皮膚の下で動きまわるので、大変なかゆみにおそわれます。

治療：薬を使ってダニを全滅させる

ダニを殺す作用のある抗生物質を飲ませたり、外用薬などを用いて、繁殖したダニを殺します。ダニが完全に死滅するまで、根気よく治療を続ける必要があります。

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ツメダニ症とは？

白いフケのようにみえるツメダニに感染して起こる皮膚病です。

症状：激しいかゆみやかさぶたのようなフケ

強いかゆみがあります。しきりに身体をひっかくため、赤くただれることも、被毛をかき分けてみると、あつく重なった白いかさぶたのようなものができています。ルーペなどで観察すると、白いフケが動いているのがわかります。その下に、ツメダニが繁殖しているのです。

原因：感染している犬や猫と接触して感染する

ツメダニに感染した犬や猫と接触することで感染します。感染すると、犬の皮膚に卵をうんで繁殖します。ノミやハエの媒介により感染することもあります。

治療：殺虫薬を使用する

ダニを殺す作用のある薬を全身に散布し、その後洗い流します。同時に、犬の体を丁寧にこすり、あつく重なったフケ状のものを、こそげ落とします。

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マダニの寄生とは？

マダニに寄生されると、血を吸われるだけでなく、病原体をうっされることもあります。山野や藪、植え込みなどによく入る犬は要注意です。

症状：小豆大にふくれた、マダニがみつかる

マダニは、犬に寄生すると血を吸って３倍以上の大きさになり、小豆大くらいにふくらみます。そのため、肉眼でも寄生が確認できます。目のまわりや耳のつけ根、肩、前足などによく寄生します。小豆のような大きさと色の虫が皮膚にくい込んでいたら、マダニが疑われます。患部にかゆみを伴います。指の間に寄生した場合、足を引きずって歩くことも。

原因：緑の多い場所で寄生される

マダニは、通常は体長３～４mmほどで、動物の血液を唯一の栄養源にしています。十分に吸血すると地上におりてメスは卵をうみます。幼虫や成虫などが、通りかかった動物に寄生します。寄生されるのは草や本の多い場所。都会でも芝生や道路沿いの植え込みなどで寄生されることがあります。

治療：つぶさないよう頭部も一緒に除去する

寄生している数が少なければ、専用のピンセットでマダニを引き抜きます。このとき注意しなくてはいけないのが、マダニをつぶさないことです。血を吸われること自体は、それほど問題ありませんが、地域によっては、マダニがバベジアという原虫などの病原菌を媒介することがあります。マダニをつぶしてしまうと、これらの病原菌が外に出て、犬に感染する危険があるので注意してください。皮膚内にマダニの頭部が残ってしまわないよう、マダニの口元を根元からつまみ、まっすぐに引き抜くことが重要です。

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膿皮症とは？

皮膚にいる常在菌が異常に増殖する皮膚病。犬には大変よくみられます。

症状：赤い発疹が出て、かゆみが強くなる

最初は皮膚の表面に赤い発疹がみえる程度ですが、徐々に広がり、やがて中心が真っ黒になります。かゆみが強く、体をかくため、激しい脱毛が起きます。進行すると、皮膚が膿み、悪臭や痛み、発熱がみられることも。

原因：細菌が異常繁殖して皮膚に炎症が起こることも

犬の皮膚には、普段から多くの細菌が付着しています。体が弱ったり、慢性の皮膚病や加齢で抵抗力が低下したりすると、細菌が異常繁殖し、皮膚が化膿します。たいてい黄色ブドウ球菌が繁殖しますが、進行した場合、緑膿菌など、悪性度の高い細菌が繁殖することも。

治療：シャンプーで洗い、抗生物質を使用する

犬用シャンプーで皮膚を洗い、抗生物質（抗菌薬）を内服または、塗布、もともと皮膚病があり二次的に膿皮症を起こした場合、原因の病気治療が必要。

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皮膚糸状菌症とは？

白癬などの真菌（カビ）による皮膚病です。人間にも感染します。

症状：円形に脱毛し、かさぶたができる

感染した部位が、円形に脱毛します。脱毛部には、フケのようなかさぶたができます。進行すると脱毛が広がります。かゆみは、ほとんどありません。感染しやすいのは、顔や目の周囲、耳、皮膚のやわらかい部分などです。数ヶ月で自然治癒しますが、カビがいなくなったわけではなく、他の犬や猫に感染させてしまいます。

原因：犬や猫からカビの一種に感染する

人間の水虫の原因である白癬菌に近い、犬小胞子菌や、石膏上小胞子菌などの真菌に感染し皮膚炎を起こします。感染した犬や猫から、うつります。子犬や、毛のはえかわる時期に発症することが多くなっています。原因となる真菌は、人間にも感染し、タムシのような皮膚炎を起こします。

治療：抗真菌薬による治療を根気よく続ける

原因のカビは、症状のある部位だけでなく、周囲に広がっており、感染源となる胞子を撒き散らしています。そこで、まずは全身の被毛を刈り取り、体全体を治療します。カビを殺す薬による薬浴をおこない、真菌を殺す塗り薬を塗布します。同様の効果のある内服薬も飲ませます。完治には2～3ヶ月ほど。症状がおさまっても、獣医師の指示にしたがい、治療を続けてください。同居している犬や猫がいれば感染の有無を確認してください。

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体内のさまざまな臓器や器官の働きを調整している物質を、ホルモンといいます。ホルモンは血液中に分泌されるため、汗腺や唾液腺など、体の外に分泌される外分泌に対して、内分泌とよばれます。多くの種類があり、それぞれがお互いに作用し合って、体内の調整役として働いています。皮膚や被毛の代謝にも、ホルモンが関係しています。そのため、ホルモンの分泌量に異常が起こると、皮膚や被毛の健康が害されることがあります。

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内分泌性皮膚炎とは？

体内で分泌されているホルモンの分泌量の異常で、脱毛などが起こる病気です。

症状：ホルモンの種類ごとにさまざまな部位で脱毛

春や秋の喚毛期でもないのに、毛が抜けたり、抜けやすくなったりします。地肌がみえるほど、激しい脱毛もあります。どのホルモンの分泌異常かによって、脱毛する部位はさまざまです。たとえば、性ホルモンの分泌異常の場合は、生殖器や肛門の周囲の毛が抜けます。副腎皮質ホルモンや成長ホルモンの異常では、胴体から脱毛します。この場合、頭部と四肢の毛は抜けません。初期なら、かゆみはありません。脱毛に気づいたら、脱毛している場所だけでなく、抜け方もチェックしてください。体の左右対称に抜けるといった特徴的な抜け方をしている場合には、ホルモンが影響している可能性が高いといえます。また、ホルモンは全身に影響を与えるため、尿の量が増える、動作が不活発になるなど、皮膚以外にも症状があらわれることがあります。

原因：各種ホルモンの分泌量の異常

被毛が周期的に抜けかわるのは、毛の成長にかかわる毛包が、周期的に活発になったり、休止したりするためです。ホルモン分泌量が増えたり減ったりすると、この毛包が休止状態のままになるため、毛が抜けやすくなります。具体的には、甲状腺ホルモンの分泌量が減る、副腎皮質ホルモンの分泌量が増える、性ホルモンの分泌量が多すぎる、または少なすぎる、成長ホルモンの分泌量が減るときなどに皮膚炎が起きます。よくみられるのは、甲状腺ホルモンの異常と、副腎皮質ホルモンの異常です。

治療：ホルモン薬を長期に使用する

分泌の異常が疑われるホルモンを補充したり、ホルモンの働きを抑制する薬を用います。治癒効果があらわれるまで、数ヶ月はかかります。ホルモン薬は副作用があるので、犬の様子をよく観察しながら、注意深く治療を続けます。

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